【11月27日 AFP】ロシアは26日、自国軍機がトルコに撃墜された問題を受けて、トルコに対し包括的な経済制裁を科す方針を示した。また、撃墜をめぐる両国の非難の応酬は激化の一途をたどっている。

 ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているトルコに対する軍事報復の可能性については否定している。しかしドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は閣僚らに対し、2日間のうちに経済・人道面での「報復措置の体系」を立案するよう指示した。

 メドベージェフ首相は撃墜を「侵略的行為」と呼び、懲罰的な措置として、合同経済プロジェクトの中止や金融・貿易取引の制限、関税の見直しなどが含まれる可能性を示唆した。

 またウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は国民の間で旅行先として人気の高いトルコへの渡航を差し控えるよう呼び掛けており、運輸・観光面での制裁措置を科す可能性もある。ロシアはさらに、トルコ産農産品について、「安全基準違反」を理由に輸入規制を強化している。

■「恥を知れ」とトルコ大統領

 両国の大統領は、非難の応酬を続けている。プーチン大統領はトルコからの謝罪を待っていると述べたが、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、電話をかけたが応答を拒否したのはプーチン大統領の方だったと反論。トルコは謝罪の必要はないと明言した。

 プーチン氏はトルコから「背後から裏切りのやいば」を受けたと表現し、トルコ政府がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を経済的・軍事的に支援していると批判している。

 これに対しエルドアン氏は、トルコがISから石油を買っているという疑惑を否定。「恥を知るべきだ。われわれがダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)から石油を買っていると主張する者には、それを証明する義務がある。証明できないなら誹謗中傷行為だ」と切り捨てた。

 一方で同氏はフランス24(France 24)テレビの取材に対し、もしロシア軍機だと認識していたら「違う行動を取っただろう」と認めた。

 トルコがシリア国境で露軍機を撃墜したこの問題は、両国以外をも広く巻き込んだ地政学的な対立をたき付ける恐れがあるという懸念が生まれている。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO and Fulya OZERKAN in Ankara

http://www.afpbb.com/articles/-/3068206 より転載