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強姦は神聖な行為~「イスラム国」 [政治・経済]

 

池上彰が読む「イスラム」世界知らないと恥をかく世界の大問題 学べる図解版第4弾

池上彰が読む「イスラム」世界知らないと恥をかく世界の大問題 学べる図解版第4弾

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川マガジンズ
  • 発売日: 2014/07/11
  • メディア: 単行本

 

 

 

組織的な強姦




 「イスラム国」の兵士は12歳の少女を強姦する前に、自分が今からすることは罪ではないということを、わざわざ説明した。このプレティーン(13歳未
満)の少女はイスラム教以外の宗教のしきたりを守っているので、コーランは、彼に強姦する権利を与えるばかりか、それを見逃し奨励するのだと主張した。



 彼は、少女の手を縛り猿ぐつわをかませた。それから、やおらベッドの脇に膝まづき、少女にのしかかる前にひれ伏して祈りを捧げた。



 事が済んだ後、彼はもう一度祈り、宗教に対する献身を示す行為で強姦を締めくくったという。



 少女は、「痛いから、やめてと言い続けました。そしたら、イスラム教ではイスラム教を信仰しない人を強姦することが許されているのだと言いました。そし
て私を強姦することで、自分は神に近づけるのだと言いました」と、難民キャンプで家族のいるそばで行われたインタビューで語った。少女は、11ヵ月監禁さ
れた後、ここに逃げてきたのだ。



 IS(「イスラム国」)が奴隷制度を復活させると発表してからの1年間、ヤジディ教(*)を信じるマイノリティの女性や少女を対象とする組織的な強姦は、ISの機構とその過激な宗教理論の中に深く組み込まれていった。





 最近ISから逃げてきた21人の女性と少女たちとのインタビュー、および、このグループの正式発表の内容を調査したことで、この慣行がグループの中核となる教義の中で神聖なものとして定着していった様子がはっきりと分かる。

 ヤジディ教の女性と少女の売買は、根強いインフラを作り上げた。犠牲者たちを収容しておく倉庫、彼らをチェックして売り飛ばすための視察部屋、そして、この人々を輸送するための専用バスなどだ。



 ヤジディ・コミュニティのリーダーによると、昨年は全部で5,270人のヤジディ教徒が拉致され、まだ少なくとも3,144人が拘束されているという。



 これらの人々に対応するため、「イスラム国」は性奴隷を対象とする詳細な官僚制度を導入した。そこには、ISが運営するイスラム教の裁判所が公証する販売契約書も含まれている。



 そしてこの慣行は、気楽なセックスはタブーでデートは禁止という、非常に保守的なイスラム社会から男性たちを誘致するためのリクルート用ツールとして確立されたのだ。 

 

性的暴行は「神への祈り」



 年々増え続けている内部ポリシーの覚書や神学上の議論に基づき、奴隷制度のガイドラインが制定された。この中には、つい先月(2015年7月)、イスラム国・リサーチおよびファトゥワ省が発表したばかりの長いハウツー手引もある。



 ISのリーダーたちは、コーランやその他の宗教上の規則の狭義かつ限定された解釈を繰り返し強調し、暴力を正当化するばかりか、各々の性的暴行は精神的なメリットがあり高潔なものだとして持ち上げ賞賛している。



 「彼が私を強姦しに来たときは、毎回、お祈りをしていました」と語るのは15歳の少女F。彼女は1年前にシンジャル山の肩で拉致され、20代のイラクの
兵士に売られた。ニューヨークタイムズ紙がインタビューした他の何人かと同様、この少女も強姦されたことを恥じ、名前のイニシャルだけを使うことを希望し
た。



 彼女は、男はイスラム経典で「礼拝」を意味する言葉を使い、「これは『イバダ(ibadah)』なんだと繰り返し言っていました」と語る。



 「彼は、私を強姦するのは、自分にとっては神への祈りだと言いました。私が、『あなたが私にやっていることは間違っています。そんなことをしても神に近
づくことはできません』と言うと、『そんなことはない。これは許されたことなんだ。ハラールだよ』と言いました」と、このティーンエイジャーは語ってい
る。



 少女は、約9ヵ月も奴隷にされた後、4月に密輸業者の手を借りて脱出した。


計画的征服



 イスラム国が組織的な性奴隷を正式に導入したのは、2014年8月3日だ。この日、兵士たちは北イラクにある焦げ茶色の岩の大山塊でごつごつしたシンジャル山南側にある村々に侵入した。



 この谷と峡谷がヤジディ教徒の故郷だ。ヤジディ教徒は小さなマイノリティ・グループで、イラクの推定人口3400万人の1.5パーセント以下を占めるに過ぎない。



 この山への攻撃があったのは、イラク第二の都市モースル陥落のわずか2ヵ月後のことだった。最初、それに続いて起きた山への進出は、IS兵士が支配する新たな領土を拡大する試みのひとつのように見えた。



 しかし間もなく、今回の目的が異なるものであることの兆しが現れた。



 生存者たちは、拉致された後、1時間以内に男女別々にされたと言う。あちらの村でもこちらの村でも、男性と年長の少年たちは近くの野原に追われるか、行進させられた。そこで彼らは地面に横たわるよう言われ、自動銃の砲火を浴びたのだ。



 しかし女性と少女、そして子供たちは、囲いのないトラックに乗せられ連行された。



 「山での攻撃は、領土獲得であると同時にセックスにおける征服でもありました」と語るのは、少数民族ヤジディの専門家であるシカゴ大学のマシュー・バーバーだ。

 彼は昨年(2014)の夏、猛攻撃が始まった時にシンジャルにおり、脱出者たちに心理的サポートを提供するための基金立ち上げに協力した。コミュニティの活動家によると、脱出者の数は2000人以上にのぼると言う。



 15歳のFの家族9人は、逃げようとして山のジグザグ道で車のスピードを上げたが、古いオペルはオーバーヒートしてしまった。この少女と母親、そして
14歳、7歳、4歳の姉妹は、なすすべもなく停止した車の側に立っていたところを、重武装したIS兵士の部隊に取り囲まれた。



 「兵士たちは、すぐに男女を分けました」と少女は語る。まず彼女と母親、そして姉妹たちがトラックで近くのシンジャル山にある町に連れて行かれた。「そこでお母さんと引き離されました。若い未婚の少女たちは、無理やりバスに乗せられました」。



 Fの報告は、この記事のためにインタビューした他の12人の女性犠牲者の話と同じようなものだった。彼らは別の日に何マイルも離れた場所で拉致されたにもかかわらず、似たような状況を説明した。



 Fは、約6時間離れたイラクのモスルの町に連れて行かれ、皆はギャラクシー結婚式場に集められたと言う。モスルの他にも、女性たちはタルアファル、ソラ、バージ、シンジャルなど、イラクの別の町の小学校や市役所の建物に集められた。



 彼らはそこで、何日も、ある者は何ヵ月も監禁された。その後、当然ながら小さいグループに分けてシリアやイラク国内の別の場所に送られ、セックスのために売り買いされたのだ。



 ヤジディ・コミュニティの活動家で犠牲者たちの詳細なデータベースを維持しているキダー・ドムルは次のように語る。

 「それは100%、あらかじめ計画されたことでした。私は、モスルにあるデフィレクトリー・オブ・ユースに最初に到着した家族と電話で話をしました。そ
このホールは、すでに彼らのために準備が整っていたそうです。そこには何百人用ものマットレスや、皿や台所用品、食べ物や飲み物が揃っていました」



 人権監視、アムネスティインターナショナルによる詳細なレポートでも、セックス売買が組織的なものであるとの同じ結論に達している。



 少女たちは、3人のISの兵士が登録リストを手に入って来た様子を語っている。彼らは少女たちに立ち上がるように言い、一人ずつに、名、ミドルネーム、姓、年齢、出身地、結婚しているかどうか、子供がいるかどうかを言うよう命じた。



 Fは、ギャラクシーホールに2ヵ月間監禁された。「彼らは私たちのことを笑って嘲り、『お前たちは、我々のサバヤだ』と言いましたが、私は言葉の意味が
分かりませんでした」と彼女は言う。後で、地元のISのリーダーが、それは奴隷という意味だと説明してくれた。 

宗教的習慣




 特定の聖書の一節が何世紀もあとになって、米国で奴隷売買を支持するために使われたのと同じように、IS(イスラム国)では、コーランまたはスンナの中
にある特定の節や物語が引用される。これは、預言者ムハメッドの言葉や行動に基づく習慣で、人身売買を正当化するためものだと専門家たちは指摘する。



 イスラム神学理論の学者たちの間では、これらの節の適切な解釈や、イスラム教が実際に奴隷制を認めるかどうかという問題に対する意見の一致は見られない。



 ボストン大学の宗教学准教授で、初期イスラムの奴隷制に関する本の著者でもあるキシャ・アリは、次のように指摘する。



 「コーランが生まれた時代の環境では、男性が囚われの身の女性と性関係を持つ習慣が広く見られました。しかし、それは特定の宗教的制度ではなく、ただ、人々がそういうことをしていたというだけです」

.

プリンストン大学のイスラム神学理論学者のコール・バンゼルは、この説に同意しない。彼は、コーランには「右の手が持っているもの」という言葉が何度も出
てくるが、これは何百年もの間、女の奴隷を意味するものと解釈されてきたことを指摘する。彼はさらに、近代にも脈々と続き、奴隷の扱いに関する詳細な規則
があるイスラム法学の存在を指摘する。



 ブルッキングズ研究所が出版した、ISのイデオロギーに関す研究論文の著者であるバンゼルは「奴隷制を認める経典の言葉は数多くあります」と言う。



 「それは、今日もはや意味がなく失効したものだと主張することはできます。しかしISは、これらの制度は復活されるべきだと主張するでしょう。なぜなら、それは預言者と彼のコンパニオンとなった女性たちがやったことだからです」



 (AUG. 13, 2015)



 翻訳/オフィス松村

 


知らないと恥をかく世界の大問題 学べる図解版 第4弾 池上彰が読む「イスラム」世界 (―)

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  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川マガジンズ
  • 発売日: 2014/07/26
  • メディア: Kindle版

 

出典 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151205-00045253-biz_gendai-nb&ref=rank&p=1

 

 

 

 


タグ:イスラム国
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